会社設立と事業年度のあれこれ

一年は1月1日から12月31日までです。
保育園児でも知っている常識ですよね。
しかし、会社にとって1年の始まりと締めくくりは、必ずしもこの1年と同じとは限りません。
会社それぞれに定めた「事業年度」こそが、会社にとっての1年なのです。

事業年度を非常に簡単に解説するのであれば、「決算日の翌日から次の決算日まで」であると言えます。
つまり、会社が定めた決算日によって、始まりと終わりがそれぞれ違ってくるのです。
ちなみに事業年度は1年以下の期間であれば、自由な期間を設定できます。
中小企業などは1年間とすることが普通ですが、大企業などでは半年を事業年度としている会社も存在しています。

そんな事業年度の決定が、会社設立の際に非常に重要になることは想像に容易でしょう。
しかし実際、その理由を聞かれて解説できる人は少ないかもしれませんね。
そもそもどのような手続きで決定されるものなのか分からない、という人も多いでしょう。
今回はそういった会社設立と事業年度に関わるあれこれを解説します。

まずどうして会社設立の際に事業年度の決定が重要になるのか、その理由についてです。
まず一つ目の理由として挙げられるのが、「決算の負担」でしょう。
小売業などに勤務されている人は分かると思いますが、決算月になると棚卸などで非常に忙しくなりますよね。
事業年度末は、普段の業務に加えて決算のための業務もこなさなければならないのです。
つまり、繁忙期など通常業務が忙しい時期や在庫の多い時期などに決算が重なってしまうと、仕事の量がものすごく増えてしまいます。
従業員の負担は計り知れません。
そのような事態を防ぐためには、やはり繁忙期以外で在庫の少ない時期に決算を持ってくるのが得策なのです。

二つ目の理由は、「初年度の負担」です。
会社設立してすぐの時期は、とにかく忙しいですよね。
今まで馴染みのなかった分野の業務などもこなさなければならなくなることも少なくありません。
会社設立後の初年度は、誰でも未経験への漠然とした不安を抱えながら、目の回るような忙しさに追われているのが普通なのです。
では会社設立の際、決算月を翌月に設定してしまうとどうなるでしょうか?
たとえば2月に会社設立し、その際に通例に習い4月1日から3月31日までを事業年度と定めたとします。
すると会社設立した翌月に決算を行わなければならなくなってしまいますよね。
決算後は2か月以内に法人税も納めなければなりません。
精神的にも肉体的にも、そして金銭的にも負担は大きくなってしまいます。

つまり、事業年度は基本的に、初年度が長くなるように設定することがおすすめなのです。
ただし初年度が7か月以下になるように事業年度を設定すると、翌年度の消費税の課税判定から逃れられるケースもあります。
資本金や出資額が1000万円を超える場合は無関係ですが、そうでない場合は翌年度の課税判定まで考えて事業年度を考えると良いでしょう。

ここまでで事業年度の決定が、会社設立の際にどれだけ重要になってくるのかが、お分かりいただけたと思います。
しかしもう一つ肝心なのは「どのような手続きで事業年度を申請するのか?」ですよね。
事業年度は会社がそれぞれ自由に定められるとは言っても、税金などにも大きく関わってくるものなので、当然公的機関への手続きがなければ認められません。
というよりも、事業年度を確定させる手続きがなければ、そもそも会社設立できません。
ではどのようにして申請し、事業年度を確定させれば良いのでしょうか?

結論から言うと、事業年度の確定は自治体や税務署での手続きによって行われます。
会社設立の流れとしては、まず定款を作成し、法務局で登記申請を行います。
株式会社であれば登記の前に公証役場で定款認証を済ませる必要がありますよね。
登記が済んだ後、自治体や税務署を訪れて各種申請をする必要があり、事業年度はそこで確定される事項の一つです。

その際に一番おすすめとなるのが、「定款への記載」です。
事業年度はこれほど重要な事項であるにもかかわらず、じつは定款の絶対的記載事項(記載必須の事項)に含まれていません。
それ故に、記載せずとも定款認証や登記申請を済ませてしまうことは可能なのです。
しかし、だからといって記載しないで済ませてしまうと、後が面倒になります。
自治体や税務署を訪れた際に、事業年度を証明する書類の提出が求められてしまうからです。
定款にたった一文を加えておくだけでこの面倒を回避できますので、事業年度は定款に記載することが一般的なのです。

いかがでしたでしょうか?
会社設立は、ある意味でレースへの途中参加です。
登記申請が受理された刹那は、あなたの会社が世界で一番新しい会社なのです。
先にスタートしたライバルたちにいち早く追いつき、そして追い越すためには、やはりスタートが重要となります。
そのスタートでつまずかないためにも、十分に考え抜いたうえで事業年度を決定し、必要となる手続きなどもスムーズに行えるよう、頑張りましょう。